森ノ宮鍼灸セミナー”臨活”
森ノ宮鍼灸セミナー「臨活」とは…
本校では、在校生・卒業生を対象に『森ノ宮鍼灸セミナー“臨活”』講座を開催しています。
毎回あらゆるテーマで、鍼灸の『臨床』に役立つ知識・診察技能・治療技術等の修得など、臨床に活用いただける内容となっています。
過去の開催レポート
タイトル:臨床シリーズ「腰痛」「顔面神経麻痺」
講師:長野 仁先生, 河野渡先生
長野仁先生に講師をご担当いただきました。長年の臨床と研究から考察された治療についての考えや、現在研究中の銅人形について、特効穴の意味など大変興味深い内容の講義でした。また、実際の腰痛治療に使える経穴やドーゼの見方、開業にあたっての極意を教えて頂きました。
後半は河野渡先生に講師をご担当いただきました。歯科医師でもある河野先生は特に歯科領域において実際の治療現場で行われている鍼鎮痛の手法について講義をしていただきました。歯科領域の外科処置の際に用いる鍼鎮痛での使用経穴と使用針、得気の有無等について説明していただきました。この鍼による麻酔効果は歯科治療での鎮痛に活用するだけでなく、口腔内に刺激が加わった際に生じる嘔吐反射の抑制についても効果があるとのことで、非常に興味深い内容でした。
タイトル:臨床シリーズ「妊産婦への鍼灸治療」「婦人科疾患」
講師:田中千里先生 築山房乃先生
前半は尼崎鍼灸センターの田中千里先生による、妊産婦への対応について、臨床でよく見られる症状を中心とした講義でした。始めに、妊娠に伴う母体の変化や、注意する症状・観察する事項など、治療の前に必須の知識を説明されました。そして、つわり・逆子・乳腺炎など、実際に直面することの多い症状と、具体的な治療上の注意点や治療方法を教えて頂きました。鍼灸だけでなく、食生活についてのアドバイスやちょっとした生活の知恵など、経験豊かな先生の臨床の光景が目に浮かびました。
後半は築山房乃先生による、婦人科疾患術後の鍼灸によるケアについての講義でした。術後の不定愁訴に対する治療の共通項が瘀血処理ということで、瘀血について東洋医学的なとらえ方と、生理学的なとらえ方をリンクさせた非常にわかりやすい説明をして頂きました。また、証別の脈診や腹診、様々な症状出現の引き金となる瘀血の取り方などの実技をされました。先生の治療による身体の変化を間近で見ることができ、大変勉強になりました。
お薬を飲めない妊産婦にとって、症状を少しでも軽くするために鍼灸は適しています。しかし、新しい生命を宿している身体に対して治療することには大きな責任も伴います。先生方の知識や経験に触れ、より自信を持って臨床の場に挑めると感じました。熱心な質問も多くあり、参加者にとっても有意義な時間になったのではないかと思われます。
タイトル:臨床シリーズ「頚肩腕痛」「頚部捻挫症候群」
講師:藤川直孝先生
藤川直孝先生に講師をご担当いただきました。前半は、『頚肩腕痛』に関して、簡潔にご説明いただいた後、頚肩腕痛に対する特殊鍼法としての腕神経叢刺鍼のデモを行っていただきました。次に、頚肩腕痛の治療として腕踝針療法の基本的概念と実際の刺鍼の方法についてデモをされ、鍼灸の有資格者を対象に実際に刺鍼の仕方の指導をされました。在学生は腕踝針療法を体験することで、その効果を実感していました。
後半は、頚部捻挫症候群(むち打ち症)に対する鍼灸臨床について、お話しいただきました。先生の今までの臨床経験を講義に含め、より臨床に則した内容で講座を進めていただきました。実技では、経筋治療で「皮内針」を用い頚部の局所だけでなく、全身的なバランスを整える経筋治療をご披露頂きました。鍼灸の臨床ですぐに活用できる治療を拝見することができ、非常に有意義でした。
タイトル:臨床シリーズ「五十肩」「腰痛」
講師:鈴木紘先生 尾﨑朋文先生
『五十肩(肩関節周囲炎)』をテーマに鈴木紘先生に講演いただきました。日常多く遭遇する疾患としての五十肩の病態、解剖学的な肩の構成、原因、症状に関し簡潔にご講義いただきました。続いて、五十肩に対する鍼灸治療の実技として、臨床的な治療穴の取穴方法や刺激量についての解説を交えた形で実演いただきました。具体的には、治療穴が一行線上にある場合は尾側に向かった斜刺、二行線上では外側に向けての横刺を行い、刺激量は細い鍼での弱刺激で十分に効果が得られるとの内容で、先生の過去の事例をお話しいただきました。肩関節での局所治療に加えて東洋医学的概念を用いた全身治療の実技を供覧いただきました。
後半では、尾﨑朋文先生に講師をご担当いただき、テーマは『膝痛』でした。膝関節の解剖学的な構造と安全な刺鍼深度と膝痛に関した疫学的側面にもふれた内容でお話しいただきました。鍼灸臨床の実演としては、膝痛治療における治療の実際と、過去に発生した鍼灸治療による有害事象を防ぐ手立てに関しての情報を提供いただきました。
参加者からは、鍼灸治療における効果的な手技だけではなく、有害事象を未然に防ぐ事の大切さを知るうえでも非常に意味のある講演であったとの意見が聞かれました。
タイトル:西洋医学的診察「聴診法」「触診法」
講師:佐藤正人先生 鈴木信先生
まずは佐藤正人先生に、心音と呼吸音を聴取する上で必要な基礎的知識について解説していただき、その後、それぞれの正常音と病的雑音の音源をPCから流し、具体的に説明していただきました。
参加者は聴診器を用いて自身の心音や呼吸音を聴診することでさらに理解を深めていました。
我々、鍼灸師が安心して治療を行う為には、心臓や肺の異常の有無を先ず確認することが大切で、それには聴診所見を取ることが非常に重要と再認識できました。
後半では、鈴木信先生に、患者さんの体に触れることの意味についての講義をしていただき、次に、実際に腰部の触診を5人1組になり交代で行いました。それぞれのグループに鈴木先生が移動され、腰部の触診から得られる情報を体表に印をつけわかりやすく解説していただきました。触診から得られる情報の大切さを実感でき、今後の臨床にも役立てる内容でした。
タイトル:東洋医学的診察「脈診法」「触診法」
講師:菊谷敏士先生
初めに、東洋医学的診察としての『四診』に関して、ご説明いただきました。
四診法の脈診と腹診の歴史的沿革からこれらの診察を行うことの必要性、また、そこから何が判るのかという臨床的意義について講義されました。引き続いて、参加者がお互いペアとなりこれらの診察法を実践しました。各ペアに先生が回られ、具体的な所見を説明されていました。
今回は脈診と腹診の技術を実技にて学びましたが、最後にこれらの情報をどのように病態把握に関連付け、治療にもっていくかを、具体的な症例を基に説明していただきました。